「Structure-Based Drug Design (SBDD) の新しい方法論 」

CBI研究会では、X線やNMRなどによる生体分子構造決定法の進歩をしば しば取り上げてきました。しかし、こうした技術もすでに医薬品開発研究の 現場に定着し、成果を上げるようになってきています。特に受容体と呼ば れる医薬品と相互作用する生体分子の立体構造を前提として新しい医薬 品候補物質を探索する方法論は、SBDDとも呼ばれますが、こうした方法 論の探求はCBI研究会のメインテーマでもあります。今回は、前回(5月) のSBDDの講演会の続きとして、下記のお二方から創薬に関する新しい 動向を伺うことにいたしました。 宮崎先生には、医薬開発の基になるアンジオテンシン系のメカニズムの 新しい知見についてお話を頂きます。エンドセリン受容体アンタゴニスト、 TNFアンタゴニスト、レニン阻害剤、血管成長因子アンタゴニストなど多く の設計実績を持っておられるRamnarayan博士には、これらに使われて きた計算法や、データベースの最近の進歩、SBDDの新しい方法論とそ の応用事例について紹介して頂きます。

日時:
1998年10月30日(金) 13:30 〜 17:00
場所:
愛知産業(株)エーエスビル 3階 講堂
 東京都品川区北品川5−5−12
 JR大崎駅下車、徒歩約6分
演題:
1.13:30〜15:00
  「新しいアンジオテンシンの産生機構と薬物開発」
  宮崎 瑞夫(大阪医科大学 薬理学 教授)
2.15:15〜17:00
  「バイオインフォマティクスとコンビナトリアルケミストリーを統合した SBDD(構造ベースの医薬分子設計)の新しい方法とその応用」
  Dr. Kal Ramnarayan (Structural Bioinfomatics Inc. 副社長−計算・構造部門担当 )
 なお、Dr. Ramnarayanの話の前に、同じSBIのDr. Maggioが、「コンビナトリアル ケミストリー、ゲノミックスと、医薬ゲノミックス(Pharmacogenomics)の動 向と、これらが医薬開発あるいは医薬業界に与える影響について、短 く重要な話をされる予定。

講演要旨:
「新しいアンジオテンシンの産生機構と薬物開発」
大阪医科大学 宮崎 瑞夫
キマーゼchymaseは、キモトリプシン様のセリンロテアーゼの一つであり、 いわゆる結合組織型肥満細胞で合成され組織間に分泌される。我々は、 心血管系組織にアンジオテンシン変換酵素以外の酵素がアンジオテンシ ンIIを作る事実に初めて気付いたが、後にこの酵素がキマーゼと同定さ れた。キマーゼは炎症や免疫の反応系で種々の基質に働くことが知られ ているが、ヒトではアンジオテンシン変換酵素と同程度にアンジオテンシ ンIを特異的な基質とすることが判明した。アンジオテンシンIIは多彩な心 血管病変の原因ペプチドであることが知られている。これまでのレニン− アンジオテンシン系とは違うキマーゼが作るアンジオテンシンIIはヒトでど のような病態と関わっているのだろうか。そして将来の治療薬のターゲッ トとしての意義はあるのだろうか。最近の知見を踏まえて考察したい。

「バイオインフォマティクスとコンビナトリアルケミストリーを統合した SBDD(構造ベースの医薬分子設計)の新しい方法とその応用」
Structural Bioinfomatics Inc. Dr. Kal Ramnarayan
新しい遺伝子配列から設定された標的タンパク質の立体構造が分から ない場合、計算モデルによってその配列が取り得る立体構造を作り上 げる。 SBIではこのために、計算によるタンパク質スーパーファミリー概念と、 配列データから直接得られる標的タンパク質上の活性部位・結合部位 の推定とを組み合わせた方法を開発した。 さらに、SBdBaseという新しいデータベースを開発したので、その応用事 例も含めて紹介する。これは、遺伝子配列、タンパク質配列、立体構造 モチーフと、リード化合物発見に役立つ情報とを組み合わせたデータ ベースであり、近く公開される予定。

講演会参加資格:
CBI研究会個人会員、法人会員の方、非営利研究機関 研究者の方はどなたでも参加できます。法人会 員以外の法人からの参加希望者は一人3000円の参加費が必要です。 事前に必ず事務局 に連絡して御参加ください。
連絡先:
CBI 研究会事務局
〒158-0097 東京都世田谷区用賀4-3-16 イイダビル301
Tel. 03-5491-5423
Fax. 03-5491-5462
E-mail: cbistaff@cbi.or.jp