日本薬学会第117年会、情報薬学部会の「ハイライト」


「情報薬学はこれからどうなる」

医薬品の開発、承認申請、品質と安全性の確保のための情報をどうするか、シンポジウム1では、“これからの医薬品情報−より安全に医薬品を使用するために−”、製薬企業、行政のほか、薬剤師会、情報センターの方々から、それぞれの立場で意見が述べられ、またシンポジウム2では、生物化学、物理化学、分析化学、情報科学の各分野の方々から“生体の情報伝達”はいま、どこまで解明されたかが報告される。またワークショップ「ネットワーク新時代」では、現代社会、経済に大きな構造的変革をもたらしたネットワーキングの新技術と薬学への応用がターゲットとなっている。本部会ではまた、コンピューティグに基づいた二十二題のオリジナルの研究成果が発表される。もっぱらマテリアルサイエンスを基調とした研究によって支えられてきた薬学の世界に、いま情報システム、データベースの構築などの新しい流れが生れてきた。この流れは認知され、未来に向かって次第に力強さを増すに違いない。


日本薬学会第117年会情報薬学部会 「見どころ聞きどころ」

田辺製薬(株) 東京業務部薬事部  宮城島 利一
徳島大学・薬学部教授 寺田 弘
広島大学・医学部教授 升島 努
東京薬科大学名誉教授 原 昭二

 本部会では、二十二題の部会講演のほか、二つのシンポジウムおよびワークショップがすべて同一の会場で行われる。

 昨年末、医薬品安全性確保対策検討会の報告書が発表され、本年4月には、改正薬事法の施行、GCPの改正・省令化、市販後調査の適正実施基準であるGPMSPの省令化がなされる。今後、医薬品の研究・治験・審査・市販後の各段階における安全性確保対策がますます重要になってくる。これら法令の施行直前である年会第一日の午後、シンポジウム「これからの情報システム−より安全性の高い医薬品を求めて−」が開催される。冒頭企業の立場から、田辺製薬の宮城島部長より「医薬品のデータ・情報」の概論が、次いで山之内製薬の魚井部長から「品質と安全性の確保のための情報システム」への取組みが紹介される。厚生省薬務局安全課石井室長には、改正薬事法とインフォームド・コンセントを中心とした「医薬品の適正使用と安全性情報の提供」についての講演をお願いする。一方佐谷常務理事から、今後重要となる薬剤師の立場で、「日本薬剤師会における医薬品情報活動の現状」を、また日本医薬情報センターの三宅理事長から、臨床現場で有用性を発揮する「処方作成の支援情報の提供」について御説明頂く。

 二日目午後のシンポジウム「生体の情報伝達」では、生体における情報伝達の仕組みを知る目的で、5名の講師の方々による問題提起とそれに基づく討論を行う。生体における情報伝達にはいろいろな様式が考えられるが、その主なものは、外界からの情報をとらえる感覚受容器における伝達と細胞内における種々の生命反応に関する伝達と考えられる。感覚受容器における情報の処理機構に関して、北大の栗原教授から臭細胞における匂いの信号受容機構と、それに基づく選択的な苦味抑制剤の開発に関する話題を提供していただく。細胞内における情報伝達に関しては、まず広島大の小沢博士から膵臓におけるインスリン含有分泌顆粒や肥満細胞におけるヒスタミンの放出などの過程を視覚化する試みを、ついで国立衛試の五十嵐博士から細胞内情報伝達系をコンピュータ上に再構築する試みに関してのお話を伺う。また、徳島大の篠原博士からは遺伝情報の伝達と処理システムとその異常による疾病の発症の仕組みについてがん化の遺伝情報処理を中心にお話しいただく。さらに、豊橋技科大の高橋博士から、このような情報伝達の仕組みを一般化するアルゴリズムに関する話題を提供していただく。話題提供に引き続いて、生体における情報伝達と処理の仕組みに関する討論を行う予定である。

 インターネットをはじめとするメディアの世界の発展はめまぐるしく、半年前はすでに古い過去のものとなる昨今である。インターネット利用者も増加し、今や、これを学ぶ時代から、使う時代に入りつつあるとも言えよう。
三日目午前のワークショップ「ネットワーク新時代」は、メディアの近未来像の把握と、現時点での使い手の立場からの薬学的活用例示に主眼が置かれて企画された。いよいよ日本薬学会もホームページ開設、インターネットを通して会員とのコミュニケートを活発化する。そのねらいと今後のスケジュール等を、昭和大・薬学部の百瀬教授より説明戴き、その後、ネットの近未来像として、今、3Dやアニメなどのホームページでの表示を簡単に実現する言語”Java”あるいはそれをより使いやすくしたJavaScriptについて日本サンマイクロシステムズの北野氏に分かりやすく紹介して戴く。さらに、21世紀のメディア世界、特に家庭内では「ホームLAN」など、家庭での電子生活、メディアはどう変わっていくか、三洋電機AV事業本部森氏に予言して戴く。後半では、使い手の活用例として、まず、豊富な生薬の検索提示システムを作成されている、広島大大谷博士、山崎教授に、情報発信WWWサイトを教室など小さなユニットで、自分自身で簡単に立ちあげるノウハウと、それが、イントラネットの情報サーバとしても使える事を紹介して戴く。次に、北里大薬二村講師に、インターネット上での国際会議を開くには、どのようなシステムを準備し、どのように運用すれば良いかを紹介して戴き、最後に、アメリカFDA医薬品評価部のMalinowski課長と広島大医田村博士に、現在FDAが、このインターネットを利用して、医薬品企業と、消費者に様々な情報伝達を行っている現状とその狙いについてご説明戴く。ご両人とは、アメリカまで、インターネットを通して結び、会場の参加者と議論をネット上でリアルタイムに進める、初めてのオンライン質疑応答を行う。各企業、研究室の将来の情報戦略、情報システム構築のための、アップデートなワークショップとしたい。

 原  昭 二   連絡先  TEL 048-471-0037; 030-048-5502     FAX 048-471-0310


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